あっちこっち飛び猫

小説を書いたりゲームを作ったり、たぶんマルチクリエイター。お仕事も募集中。

あっちこっち飛び猫は移転しました。

【日記】謎解き郵便屋さんをした話【面白日常】

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まれにある、受取人間違いの郵便物。
本当ならもう一度ポストに投函すれば良いらしいのだが、正しい受取人がご近所の時は直接届けに行く人もいるのではないか。

私もそんな人の一人だったのだが、目的の受取先のお家にちょっとしたギミックが……。
と、そんな、正月明けのお話。


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※これから話すお話の中の名前、住所等は全て偽物です。
ただ、起こった出来事だけは本当のことです。※

謎の年賀状

正月も明けて日常に戻りだしたそんなある日。
ポストに2通の年賀状が入っていた。

1枚は私のお世話になっている出版社からの年賀状。
もう一枚は、全く身に覚えのない差出人からの年賀状だった。

宛先を見ると「川島」の部分は同じ苗字でありつつ、下の名前に全く知らない母親と子どもたちの名前が書かれている。

ナニコレコワイ。

そして、住所が「××市○○町 1-23-45」となっている。
ちょっとまって、私の家は「××市○○町 1-34-56」だ。

どうやら近所に同姓の人がいるのだが、そこと間違えてポストインしてしまったようだ。


正しい住所が書かれた年賀状が投函されているのに、どうしてこんな間違いを犯すのだと、5分ほど郵政省に腹を立ててたりもしたのだが、ふと思い返すと、30分程前に、2階のトイレで用を足してる最中にインターフォンが鳴り、慌てて降りるも玄関モニターに誰もいなかったため、

「なんだよ、トイレ慌てて出て2階から降りるだけでも1分はかかるんだから、もう少し待ってくれたっていいじゃんか」

とプリプリしながら再び2階の仕事部屋に戻った瞬間に、窓の外から「カツン」と、ポストに何かを入れた音が聞こえてきたくだらない事件が起こっていたのだ。


まれに年配の人が、インターフォンを押す⇒条件反射でドアの前に立つ、という行動をするのだが、今時の家はインターフォンの前にカメラレンズがあるため、玄関ドアの前に立たれると何も映らず、私はもう帰ってしまったのかと悪気無く無視をしてしまうことがあるのだ。

というか、インターフォンのところにスピーカーもあるんだから、無条件で玄関の前に行くなよ。
訪問者を確認せずドアを開ける時代は終わったのだ。



と、まぁ、そんなことがあったので、もしかしたらこの年賀状は郵便屋さんではなく、この差出人が直接ポストに入れに来たのかもしれない。
しかも、5~6年は経っているのだが、この辺にしては珍しい新築だったし、住所がわからず念のため、インターフォンを押して、出てこなかったので、仕方なくポストインして去って行ったのだろう。



さて、その問題の年賀状。
不慣れな印刷で、その隙間に一生懸命「新居はどうですか?」「○○ちゃんも○○君もきっと大きくなっているでしょう」「せっかく近くにきたのですから、遊びにきてください」などと、徒然なるままに文字が書かれているではないか。

どう見てもおじいちゃんが、近くに住み始めた息子夫婦とその孫達に会いたくてしたためた年賀状にしか見えない。


間違い投函な上に、私の貴重なトイレタイムを邪魔してくれた上に、インターフォンを押してすぐに玄関ドアの前に立つという愚行をしてくれたが、それでもこれを捨てるには心が痛む。


しかも、その同姓の宛先人は犬の散歩ルートからわきに行った先の家っぽい。


ならば届けに行ってやろう。
ヤギの郵便屋さんならぬ、ゴリラの郵便屋さんの始まりだ。

謎のポスト


というわけで、その日の夜。
旦那に相談し、犬も連れて一緒に件の同姓の家を探しに出た私。


家からほんの5分ほどのところにあるはずなのだが、いかんせん家の前の側溝からハクビシンが飛び出したり、縄跳びが捨ててあるのかと思ったら、ヤマカガシが死んでたりするような半端田舎。


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phot by動物図鑑/ハクビシン
ヤマカガシのすべて!毒性と生態 やまかがしナマ情報


周囲は真っ暗で、空き家も目立つし超コワイ。
途中、犬がツタがびっしり茂った空き家に突進しようとしていき、犬の尻をはたく一面もあったり。

それでも目的地の住所付近まできて、「50……51……52……空き家だけど、たぶん53……」と、ボソボソと住所をカウントする。
超コワイと思っていたが、恐らく端から見たら、光るベストを着た、尻を叩かれションボリとした犬を連れた金髪の女がボソボソと人の家を指さしている方が余程怖かったであろう。



それでも、住所が合わない。
裏から数えると55。表から数えると57になってしまう場所には、まだできかけの家があるのみ。
できかけなので、むろん駐車場となる場所にはコンクリートを流すための溝がほられているだけだし、玄関前にはビニールシートが敷かれている。
ポストなんて物もなく、玄関の前に1つの木箱が置かれているだけだった。




ここ……だよね?

新築って書いてあるしたぶん……



できかけの家を前に、孫LOVEな年賀状を握りしめ困惑する私たち。

たぶんここだ。
ここ以外あるはず無い。
でも、もし違う家だったら、おじいちゃんが一生懸命したためた年賀状はゴミとなり、おじいちゃんは孫に会えずに一人寂しく死んでしまうかもしれない。

色々な不安を胸に、意を決して私は玄関の前に立った。
そこに置いてある木箱……かと思った物には何か投函口のような物があった。
そして…………。

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え、なにこれ。
なんで「P」と「W」が変なところに書かれているの?
なんなのこの箱。

ナニコレコワイ。


戸惑う私。
帰りたがる犬と旦那。


この謎かけのような箱を前に、あまた多くの謎(ゲーム)をとき、時にはゲームを作李さえする私のゲーム脳をフルに活かし考えた。



そして、ゼルダの伝説で先に進めなかった扉のギミックが解けたような開放感が走った。

そう、ここは川島さんの家であっているのだ。
なぜなら……。


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このポストは作成中(若しくは取り壊し中)で、POSTのPとKAWASHIMAのW以外の文字が落ちてしまったのだ。


自信満々にポストにおじいちゃんからの年賀状を入れ、ドヤ顔で今の推理を述べる私。
そんな私に旦那が一言。



でも、工事中の家だし、ポストごと捨てられないといいね




さあ、2017年。
おじいちゃんは孫に会えるのでしょうか。
それは、私の知ったことではない。