上野動物園に行ってきたときの話
今更私が上野動物園に行ってきた話をしたところで、「上野動物園」でグーグル検索をするような人間がいるとは思えないほど、上野動物園は有名だ。
そんな上野動物園であった小さな、小さな小話をひとつ。
上野動物園に行ったのは、旦那と結婚する前。同棲してすぐくらいのころだった。
そこのころからすでに「おしゃれなレストランでディナー」よりも「面白そうなところへ行ってトンデモ体験をしたい」という女らしからぬ傾向を見せていた私だったため、旦那の「上野動物園行ってみようか」という言葉に食らいついた。
上野動物園といえば、動物園の代表格でもあるようなキングオブ動物園。
人の命よりも値段の高いパンダを複数飼育していることからも、その規模がよくわかる。
土日祝日の上野動物園は混雑しているが、イベントなどをしていなければそこまでごった返すこともなく、ならばずに白と黒の怠惰な熊をみることもできるだろう。
動物独特の臭みも心地よく、あちらこちらと見学していく私たち。
霊長類のゴリラなどは人目にさらされるのがストレスだったのか、ムシロをかぶって鼻くそをほじっていたが、人前で平然と鼻くそをほじれる分だいぶ人前に出る度胸があると思われる。
アドリブに弱く、3人以上の人間を前にすると「アウアウアウアウ」となってしまう私より、遙かにキモが座っているだろう。
と、色々と思いを馳せながらグルグルと周囲を見まわしていると、「オカピ」と呼ばれる珍しい馬的なものを発見。
彼ったら、すごいんですよ。
上半分が馬で、下半分がシマウマなんですよ。
それでいて「キリン」の仲間だなんて、これこそが世界七不思議に数えられるべき生きものだろう。
フシゾウ並に、「いやいや、そんな動物いないでしょ。なに絵空事言ってんの…………マジだっ!!」という突っ込みの似合う生きものだ。
シフゾウ(四不像、Elaphurus davidianus)は、中国に生息するシカの一種である。 シカのような角をもちながらシカでない。ウシのような蹄をもちながらウシでない。ウマのような顔をもちながらウマでない。ロバのような尾をもちながらロバでない。このように四つの動物に似た特徴をもちながら、そのいずれとも異なるために「四不像(中国音:スープシャン)」と呼ばれる。
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そんな生きものに遭遇した私、ただでさえ上がっていたテンションが沸点オーバーしてしまい、もう止まらなくなる。
そんな折に、キリンを発見した。
オカピからのキリン。
ダーウィンの進化論が爆発する。
「きりーーーーーーん!!」
と、突発的に全力疾走した私の体が、すべての幾何学的な誤作動を起こし、
ちょっとおしっこ漏らした。
いや、キリン見たくらいで20も半ばの大人が何漏らしてんだよ、って突っ込みが来ることは百も承知しているのだが、人間興奮すると筋肉の調整がおかしくなってしまうんだって。
戦場でアドレナリン120%になってしまった兵とか、人質にされて刃物突きつけられた人間とか、絶対ちょっと漏れてるって。
大体考えてくださいよ。
今から200年くらい昔の江戸時代とかじゃ、オカピはおろか、キリンとかゾウとか想像上の産物でしかなかったわけよ。
せいぜいゾウの話を聞いた御伽草子の絵師が、ゾウの絵とか墨で描いて、それを見た字の読めない一般ピープルたちが「すげえ、このぞうって生きものは天竺にいるのかっ。ありがてえもんだなぁ」とか、にぎりめし食いながら言う程度ですよ。
もし、江戸時代の人がキリンを見るとしたら、こんな絵で知るしかないわけですよ。
そんな江戸時代からしたら空想上の動物と出会えるわけですから、そりゃおしっこの一滴や二滴もらさないと申し訳ないくらいですよ。
「あははっ! やべえ、ちょっともれちゃった。あははキリンすげーぇ!!」
と、お薬が効き過ぎちゃった人みたいに興奮する私を生ぬるい目で見つめる当時の彼氏。
大丈夫、人間以外とありのままで生きていた方が結婚できるって例がここにあるから。
というわけで、大人になってから上野動物園へ行くと、ものすごい興奮を味わえるのでお勧めする。……という話でした。
どうでもいいけど、ぞうをみると、「かわいそうなぞう」を思いだして悲しくなるので、彼は最初に見ておこう。
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