ビリヤニと、自己流ボグラッチレシピと、もの食う人々
私の愛読書に辺見庸先生の「もの食う人々」という本がある。
- 作者: 辺見庸
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1997/06/01
- メディア: 文庫
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普通の「おいしいだけ」の話だけではなく、キワモノの国である種のキワモノを食べ、その土地の人々のありさまや、「食」というもの事態にモノを申す、文芸的な本である。
ビリヤニとの出会い
内容に関しては「面白いから読んでみてね」としか言いようがないのだが、その一文に
小鼻に金色の飾りを埋めた娘が、ビラニは四タカ(一タカは約三円)、バットが五タカ、と猫なで声で言った。
というものがある。
ビラニはバングラディッシュの焼き飯であり、インドではビリヤニとも呼ばれる。
もの食う人々の中では、筆者が残飯を再利用したビラニを知らずに食べて「うっ」となったようだが、放り投げたそれを孤児の子供が喰らいついていた。
そんな文章の中での食べ物を見つけた。
近くのデパートのフードコートのインド料理屋で、まさかビリヤニを見つけるとは思わなかった。
1セット1000円と、フードコートにしては高めだが、それでもいい。ビラニもビリヤニも違いの分からない私にとってはどうでもいい。
ともかく食べてみたい。その一心で注文した。
ニコニコ顔のシェフから渡されたビリヤニには、細長い米の中に、骨付きの鶏肉が埋まっており、確かにこれじゃ残飯と見分けがつかないよな……と一瞬失礼なことが脳裏をよぎったりもしたが、それもスパイシーな鶏肉の匂いで吹き飛んだ。
ともかく美味い。
カレーが苦手な私でも、パクパクいける。カレーっぽいわけではなく、スパイシーなのだが、それが丁度良い。肉もほろりと骨から外れるし、その肉をまばらに味の付いた米と一緒に食べるとたまらなく美味いのだ。
「美味い美味い」と食っていたのだが、男でも食いきれない量の皿に乗っていたので、後半は辛くなってきたが、それでもまた食いたいと思わせてくれる。カレー嫌いの私がだ。
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私はありがたいことに、飽食の国で生まれ育っているが、これは残飯には回さない。
全部私が食う。
そんな美味い物を教えてくれた「もの食う人々」に感謝したついでに、もう一品、この小説の一文を紹介しようと思う。
筆者がポーランドの炭鉱で一働きしたのちに、食堂で飲んだ「ボグラッチ」と言われるスープなのだが。
「さっきまで炭塵で真っ黒だった舌に、よく煮込んだ牛骨と香味野菜の味が心地よく染みた。ウシキという白玉状のもちも入っていて、牛汁の味を帯びたそれを食べると、なんだか優しい日本の田舎の味がして、喉がゴロゴロ鳴りだしそうだった。」
この文面だけで、もうたまらなく食いたくなった。
当時、大してネット文化も進んでおらず、「ボグラッチ」というものがいったいどういうレシピで作られているか、クックパッドすらなかったので文面から読み込んでカンで作るしかなかった。
「セロリ、パセリの根もベースになっているかもしれない。それに、唐辛子の適度な辛さが、疲れた体を気持ちよく刺激した」
とある。
で、作ってみた。
奇跡を呼んだニセモノを。
「カワチヨ流、偽ボグラッチレシピ」
材料(2~3人前)
・ニンニクひとかけ
・オリーブオイル(なければもこみちサラダ油でもOK)
・玉ねぎ1個
・ニンジン1本
・セロリ2本
・ジャガイモ2~3個
・鷹の爪2本
・牛ひき肉(適当)
・白玉粉(適当)
作り方
①ニンニクを薄切りにします。
②↑のにんにくをオリーブオイルを敷いた鍋でこんがりと焼く。
ついでに、鷹の爪も適当に千切って炒める(むせるので注意)
③オイルに匂いが移ったあたりで、玉ねぎ・ニンジン・セロリ・ジャガイモを「みじん切り」にします。
④みじん切りにした野菜をさっきの鍋に入れて、ひたすら弱火で炒めます。
ここで半端に炒めると、良いダシが取れないので、「これでもか!!」ってほど、良く炒めましょう。
目印としては、玉ねぎが飴色になるくらい。
⑤炒まったら、お水を入れて沸騰させる。
その間に、肉団子を作成。ひき肉に塩コショウを振って練り練り。
団子上にして鍋に投下していきます。
⑥再び肉に火が通るまで、今度は白玉団子を作成。
因みに、「白玉粉」と「上新粉」と「団子粉」の見分けのつかない夫に買い物を命じると、写真のような状態になります。
ま、白玉粉の方が一番おいしいんですが、上新粉や団子粉でも十分おいしいです。
⑦練り上がった団子を、先ほどの鍋に投下。
後は塩コショウで味付けなんですが、隠し味で「お醤油」をほんのちょっぴり入れると、日本人好みの味になってお勧め。もし、野菜からの旨みが少なかったら「コンソメ」でも投下しちゃいましょう。
⑧あとは団子に火が通るのを待って完成!!
上記の材料だけではなく、貝とか魚とか一度凍らして解凍した豆腐とかいれてもおいしいよ。
(写真は豆腐も入れてます)
ピリリと辛いのでビールにもよく合うし、冬はあったまるし、夏はさわやかになるしでかなりおすすめ。
野菜も肉も炭水化物も入っているので、このスープだけで栄養が足りているのもGOOD。
ええ、実際の「ボグラッチ」とは違うものなのですが、適当に作ったら奇跡を呼んだおすすめ料理なので、ぜひ作ってみてください。
因みに実際のボグラッチは、ベーコンとかパプリカとかをオーブンで焼くようなこじゃれたレシピなので、クックパッドで検索してみてください。
さて、今度は自己流「ビリヤニ」のレシピでも開発してみましょうかねぇ……。
本日のおすすめの一品。
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- 作者: 辺見庸,石坂啓
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1997/05
- メディア: コミック
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食のありがたみ、生きるということを考えさせられる上に、筆者の書き方が面白く中高生でもサクサク読めるよい一冊。たぶん、読書感想文なんかで使えると思う。