猿田神社に猫背先輩と行ったすごい話
まず初めにお断りを。 猿田神社へ行った時の写真がまるっと無くなった。 玉前神社へ行った時の写真もない。 もしかしたら神の寝所の写真を撮ったらあかんということで、データが雲の上の方によって消されたのかもしれないが、地を這うものとして、「書きたいものは書きたいんじゃコラ」と維持張って書かせていただきます。 ですので、写真は公式等の写真を使わせていただきますので、ご了承を……。 |
私の高校の時からの先輩で「猫背先輩」というあだ名の人がいる。
フルであだ名を述べると「童貞猫背先輩」である。
その名の通り、365日24時間休まず彼女がいたためしがない人で、高校の時には「大人になったゲゲゲの鬼太郎」と呼ばれていたこともあった。
基本的に良い人で、私と彼の関係的には完全に兄妹である。ゆえに、旦那の結婚の許可もまず彼に認めてもらうという謎の儀式があったくらいだ。
因みに、私の書いているホラーBL書籍の<出会うヒトシリーズ>の先輩は彼がモデルになっていたりする。
実際には彼女ができないだけで、ボーイをラブしているかは私の預かり知らぬところだが、結構彼も出会うヒトだ。
あと、出会うヒトシリーズの先輩のほうがもっと美形なので、そこはあしからず。
ヘビースモーカーで、猫背で色白で、なよなよとしており、目つきが悪いというか、三白眼のげじげじ眉で。。。
そんな猫背先輩がある日、うちに上がり込んでやたら凹んでいる。
どうやら最近ツイていないらしく、ミクかなんかのイベントに行ったら入場制限で入れなかったとかなんとか……。
猫背先輩の好物の落雁を与えてもしょんぼり。
で、余った時間をうちにきて、飯でも作って帰ろうと思っていたようで、ありがたいのだが大変湿っぽい。
で、あまりにも湿っぽいので、猫背先輩の今年の開運暦を確認し、パワースポットとなる開運神社を探すことに。
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そこで出たのが、猿田神社。
猿田神社(さるだじんじゃ)は、千葉県銚子市猿田町にある神社。古くから八方除けなどで信仰されている。猿田彦大神・天鈿女命・菊理媛命を主祭神とする。 (BY wiki) |
がぜんやる気になる猫背先輩。
一週間後の午前中が一番良い日時と出たため、二人で猫背カーに乗って猿田へ行くことになったのだが、それが面白千夜散歩の始まりである。
当日、夜型の二人は機嫌も悪く車に乗り込み、猿田神社へ出発。
何のイベントのない平日の午前中は道も空いており、空気も気持ちよい。
機嫌の悪かった私と猫背先輩もだんだんと調子を取り戻し、
いや~。男運の悪かったあんたが、無事結婚してよかったよ
次はあんただよ、エフェクトに声かけてばかりいないで、早くまともな女の子捕まえな
まともなってなんですか、おっぱぶ(オッパイパブ)の●●ちゃんは可愛いいい子なんですよ!
……あんた、いくらつぎ込んだ……
………………
そんな不毛な会話をしつつ盛り上がる我々。
猿田神社周辺は本当にのどかな田舎で、空気に混ざるかすかな潮風も気持ちよいため、山道に入ったあたりで、窓を開けようという話になり、いざオープン・ザ・ウィンドウ。
その瞬間、生ぬるい、目に染みるほどの…………。
オェェェェッ!!
突如として、えづく私と猫背先輩。
猛烈な「肥溜め」臭が窓からタッグを組んで襲ってくる。
どうやら前を走る軽トラがモーモーブーブーから製造された肥料をたっぷり積んでいる様子。
慌てて窓を閉めても、まだ車内が激臭地獄。
涙をこぼしてえづく私。
オエオエ言いながらも、ハンドルを必死で握る猫背。
さあ、楽しくなってきましたよ。
とりあえず、車内の空調を外気ではなく内気にすればよいということに気が付き、肥溜め臭い地獄からは脱却。
「あははは! あんなにえずくアンタ、初めて見たよ」
「アンタこそ、タバコの吸い過ぎで嗅覚死んでるんじゃないの!?」
すでに紙--というか、神の啓示がこの時点で下っていることに気が付かず、言い争いをつづけながら我々は猿田神社へと到着。
猿田神社はでかい森に囲まれるように建つ大きな神社で、大きな鳥居のある表はすぐ目の前に単線のJR総武本線が走っているのが見え、めちゃくちゃのどか。
因みに、この線路をまたぐように鳥居が作られているのがちょっと変わっている。
そして、裏参道を行くと、細いけど舗装された道があり、大きな駐車場が用意されている。
我々はそっちに車を止めることにし、ようやくモーモーブーブーの肥溜め地獄から解放される。
神様の前ではタバコを吸わないでよと、私のチクリに猫背先輩は、「じゃあここでセーブしてくる」とひとり車外に出ようとドアを開ける。
そして、次の瞬間。
「オゴ!?」
と不細工な声を上げて、車外の何かに足を滑らせた猫背先輩が、猥褻物とあだ名される改造シフトレバーに背中を強打。
何に足を滑らせたのだろうと、車外に出た私は、見てしまったのだ。
運転席の真下にポイ捨てされた、DNA入りのコン○ームを…………。
どうやら潤滑剤たっぷりのソレを踏んで、足を滑らせたらしい。
本当に、彼は滑らない人である。
背中の痛みと、怒りで顔を真っ赤にした猫背先輩が「あー、俺、こういうことする奴だめだー。許せないねー」とブルブルしている。
そしてブルブルしながら二本の長い棒を駆使し、中腰でそのDNA入りのコン○ームを持ち上げ、駐車場端のゴミ箱へと持って行くその様は、普段悪態ばかり付く私ですら彼に神の祝福を祈るほど哀れであった。
どうして、一度もコンドームを使うシチュエーションになったこともない人が、他人の使用済みのソレを神の御前で捨てる羽目になるのだろうか。
笑っちゃったけどね
そうして、不吉な予感を胸に抱いたまま境内に入る私たち。
広い境内には、お砂とりゾーン、お水取りゾーンと立派なものが用意(?)されている。
きっと、普段だったら多くの人で賑わっているはず。
そう……賑わっているはずなのである。
なのに、今日は人っ子一人いない。
おかしい。
いくら平日とはいえ、人っ子一人いなさすぎる。
そりゃ、バチも覚悟で金のないカップルが駐車場でイザナギイザナミごっこするほどの隙が生まれちゃうほどだ。
一体どうしたことだろうと思いつつ、手水を済ませ、参拝を済ませた我々はお守りを求め社務所へと向かった。
しかし、社務所の窓は固く閉ざされ、おみくじすら引ける様子ではない。
まるでとおりゃんせの世界に入り込んでしまったような寂しさが我々を襲い、物悲しげにはためく白い張紙を目にしたのだ。
そして、ここで驚愕の事実を知ることになる。
ちょっと待って。
仏滅って「仏がいない」ってことだよね!?
ここ、神様だよね!?
え? 神様って、仏様がお休みの時もお休むの!?
ベガスとかいっちゃってるわけ!?
ってか、さっき参拝したけど、あれ、もしかして神様の耳にも届いていないって感じ!?
俺、やっぱ神に見捨てられてると思うんだ。
そんな悲しい猫背先輩の、神がかり的な旅は終わった。
大丈夫。彼は色んな意味で持っている人だ。
きっと、また面白いことを――――。
余談だが、猿田神社の鳥居すぐわきに、萬屋という有名なお蕎麦屋さんがある。
そこで、自分たちの胃腸の弱さを忘れて、あまりに美味そうな人気の天ぷら蕎麦を食した我々は、帰りの車で自ら肥溜めを作り上げそうになり、「神よ~!!」と互いに絶叫しながら帰宅したのであった。