あっちこっち飛び猫

小説を書いたりゲームを作ったり、たぶんマルチクリエイター。お仕事も募集中。

あっちこっち飛び猫は移転しました。

頭部MRIを撮ってきた体験談【健康】

私は元々頭痛持ちだ。 仕事柄一日中PCに向かっているのだから仕方のないことだと思って、整体行ったりマウスピースを噛ませてみたりして誤魔化していたが、先日の頭痛は規模が桁違いだった。

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「あぁ、肩が凝ってきてやばい感じがするなぁ……サロンパスでも貼っておくかぁ」

そう思った1時間後、巨人に後頭部を鷲掴みにされて、目玉の奥からさらにちっさい目玉が出てきそうな痛みに襲われた。

「なにこれ、巨人と寄生獣のコラボ!? すげー豪華じゃんっ」

と、痛みを誤魔化すために自嘲めいたことを考えようとしたが、どだいダメージを受けている部分が脳であるために何も考えられず、ただ本能に従って、家にあったカロナール(やや弱めの解熱鎮静剤)をどうにか飲み込み、横になる。

 

横になるとどうにか少しは痛みがマシになってくるものの、主婦というのは365日24時間年中無休なもので、横になった私の周りに犬や猫が集まり始め、最も痛い首から上の箇所にベロベロ攻撃を仕掛けてくる。
そればかりか「今帰るよ~」と、のん気な旦那からのコール。

二大コラボの頭痛と無駄な精神的ストレス。
もはや、大変な修行の末に悟りを開いた坊主……そう、空海ですらこの痛みには耐え切れなかったであろう。

修行どころか、常に怠惰な生活を送ることを自分に期している私に、耐え切れることなど当然なく、先ほど飲んだ水とカロナールをリバースする

浅い呼吸を繰り返しどうにか翌日まで持ちこたえた私は、「これ、さすがに肩こりからの頭痛じゃないわ」と近所の評判の脳神経外科へとヨロヨロ向かうことにした。

歩く途中で、知り合いから「脳みそつるつるって言われたりしてねw」なんて言われたが、私は「バカ言うんじゃないよ、私の脳みそにはマリファナ海溝より深い溝がな……」と言い返していた。
恐らくこの時点でブレーンアウトしていたのであろう。

 

 

初めての脳神経外科では学校で転んで頭を打った子供や、もはや色々な意味で手遅れであろう、お漏らししながら徘徊する老婆などで混雑し、意外な盛況っぷりに少々痛みを忘れる。

そんな私の前に若い看護婦さんが現れ、先にMRIを撮る事になったと告げ、「閉所恐怖症などはありませんか?」と丁寧に問診をしてくるではないか。

過去、腰椎ヘルニア・卵巣脳腫と2度にわたるMRIの経験がある私。
いまさら頭部の閉鎖感なんて怖くもなんとも無い。
むしろ、頭痛のほうがよほど怖いわ。

 

そう思って、私は通ぶった足取りでMRIの台座(?)に寝て、色々と固定され、トータルリーコルにでも出てきそうなあの機械に頭を入れて放置される。

 

低反発なベッド。ちょうど良いほの暗さ。
そして耳に響く工事中のような騒音。

MRIは音が怖いと聞いたことがあったのだが、この「コンコン」「ポンポン」いうリズミカルな振動が肩こりに効くような気がしてしまい、私は一人うっとりとしていた…………のだが。

ここで自分の下半身の異変に気がついた。

 

う○こがしたい。

 

そういえば、朝から頭部にばかり神経が行ってしまい、全く下半身事情に気を配っていなかった。
MRIをとっているこの10分間、私はピクリとも動くことは許されない。 もちろん、手には緊急用ブザーが握られているが、果たしてこれは緊急事態と言えるのだろうか。

いや、人間としてのアイデンティティー的には緊急事態なのだが。

昨日は頭痛で嘔吐し、今日は便意で脂汗をかかせる。
私の身体は一体何と戦っているのであろうか。
もはや「コンコン」「ポンポン」言うあの音も耳障り以外の何物でもない。

そんな、精神と肉体のせめぎ合いの末、どうにかMRIも終了し、技師さんへの挨拶もそこそこに私はトイレに駆け込んだ。

「大丈夫、まだ、いける……っ!!」 そう思ってトイレのドアを開けた瞬間、先ほどまで待合室を徘徊していた老婆が……っ。

脱力しそうになる尻に力をこめつつ、私は小声で「トイレは鍵をしめましょうねぇ」とささやきドアをそっと閉めた。

その後事態を察した看護婦さんに職員用のトイレを案内してもらい、脳だけではなく尻のことにまで迷惑をかけてしまったことを謝りつつ診察へ。

白髪の、優しそうだがしっかりとした感じの医師が私の脳みその断面図を見ながら開口一番。

 

 

「大丈夫、どこも壊れてないよ」

 

 

わぁお、脳のお医者さんって感じ。

 

医師の見立てでは酷い緊張性頭痛(職業病)と偏頭痛の混合型とのこと。

緊張性頭痛かと思って偏頭痛に気がつかなかったもので、脳みそが「気がつけよ、頭痛いんだよ!!」と痛み電波をさらに上げたため、偏頭痛の度合いが増してしまっていたとのことで、それで年々頭痛の時の痛みが増していたということがわかった。

まぁ、「肩が凝って頭が痛い」→「ほぐす」→「血管が拡大する」→「血行がよくなって偏頭痛になる」という順番では、もはや何をどうしていいのかわからない。

先ほどの便意といい、本当に私の身体は一体なにと戦っているのであろうか。

結局、頓服的な偏頭痛の薬と、慢性的な緊張性頭痛の薬を頂き、 「キミは肩が凝っても、ほぐれても頭が痛くなる生きるのが辛くなるタイプの頭痛持ちだね」 と、希望を与えているのか奪っているのかわからない見送りの言葉を頂いて帰宅した。

 

つまり、私のような偏頭痛と緊張性頭痛の混合タイプの人間は

 

肩が凝って頭が痛くなり始める→筋肉を緩める薬と普通の頭痛薬を服用。
(目印は、動かなければ動かないほど頭が痛くなる、特に後頭部がぎゅーっと締め付けられる痛みが目印)

吐き気が来てから頭が痛くなる→すぐに横になり偏頭痛の薬を服用。
目印は、動くほどにズキンズキンといった痛みが強くなる。特に頭の前の方)

で、見分けて薬を服用していくといいそうだ。
私のように偏頭痛でも、右とか左とかに寄った痛みではなく、前の方全体が痛いというタイプのいるので、いたずらに単なる頭痛かと思って普通の頭痛薬を飲んでも効果がないのだ。

 

なんにせよ、頭部MRIは一度撮っておくと安心だろう。そんなに怖いものでも、保険がきけば高いものでもないので。

 

ただし、事前にう●こはしておくことをおすすめする。